ホームサウンドルート2007/8サウンドルート2007/8-I

Sound Route 2007/8 Japan ⇔ Russia

サウンド・ルート2007/8-I《日本⇔ロシア》

日本・ロシア音楽家協会会員によるコンサート

● 主催:日本・ロシア音楽家協会
● 後援:駐日ロシア連邦大使館、ロシア国際文化科学協力センター
● 日時:2007年12月25日(火)19:00開演(18:30開場)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」
入場料:4,000円
ポスター  好評のうち終了いたしました。 開催レポートはこちら

曲目

松岡俊克/ピアノのための音楽 I …金井泉乃(ピアノソロ)
Toshikatsu MATSUOKA : Music for Piano I …Mizuno KANAI(Piano solo)

塚本一実/ソロピアノのための抒情 〜悲、憧、諦〜(2006初演) …川崎智子(ピアノソロ)
Kazumi TSUKAMOTO : DESCRIPTION for Solo piano. 〜Sorrow, Longing, Resignation〜…Tomoko KAWASAKI(Piano solo)

遠藤雅夫/<二つの余白>ピアノのために2004〜7(世界初演) …佐藤勝重(ピアノソロ)
Masao ENDO : <Space, Potential> for Piano 2004~7 (World premiere) …Katsushige SATO(Piano solo)

メトネル/2台ピアノのための作品 作品58-2「放浪の騎士」 …金井泉乃(第1ピアノ)川崎智子(第2ピアノ)
N.K.Medtner : Piece for 2 Pianos, No.2 Knight Errant. Op.58?…Mizuno KANAI(Piano 1), Tomoko KAWASAKI(Piano 2)

山田 斉/ソナチネ(世界初演) …岩崎 淑(第1ピアノ)岡野宏映(第2ピアノ)
Sai YAMADA : Sonatina for 2 Pianos. (World premiere) …Shuku IWASAKI (Piano 1), Hiroe OKANO (Piano 2)

ラフマニノフ/2台ピアノのための組曲 第2番 作品17 …岩崎 淑(第1ピアノ)岡野宏映(第2ピアノ)
  1.序奏 2. ワルツ 3. ロマンス 4. タランテラ?
S.Rakhmaninov : Suite for 2 Pianos No.2, Op.17?…Shuku IWASAKI (Piano 1), Hiroe OKANO (Piano 2)
  1. Introduction? 2. Waltz? 3. Romance? 4. Tarantella

出演者

ピアノ/金井泉乃 Mizuno KANAI

 幼少よりピアノ、ヴァイオリン、作曲を学ぶ。桐朋学園大学音楽学部卒業。同大学ソリスト・ディプロマコースでさらに研鑽を積む。1990年ドイツ・マインツにてH.ライグラフ氏のマスタークラス修了。ピアノを寺西昭子、三瀬あけみの両氏に、作曲・和声を平吉毅州、三瀬和和朗の両氏に師事。これまでに、全日本学生音楽コンクール(1989)、園田高弘賞ピアノコンクール(1992)、多摩フレッシュ音楽コンクール(1995)等に入賞。府中文化振興財団主催「スクリャービン生誕130年記念フェスティバル」「メットネルの夕べ」等に出演。1996〜1998年、日本ブラームス協会主催「ブラームス没後100年記念室内楽シリーズ」に出演。チェリストの林峰男氏と共演。1998年カワイ青山主催、2002年トッパンホールにて、2006年日本ショパン協会例会(東京文化会館小ホール)にてリサイタル開催。現在、母校の桐朋学園大学音楽学部で教鞭をとりながら、ソロ・室内楽を中心に演奏活動している。日本・ロシア音楽家協会会員。

ピアノ/川崎智子 Tomoko KAWASAKI

 6歳よりピアノを学ぶ。桐朋学園大学卒業後、モスクワ音楽院大学院に入学。在学中モスクワ音楽院ホールにてソロ・コンサート、同年カラブリア国際ピアノ・コンクールに入賞。リビエラ・デル・コネロ国際音楽コンクールピアノ部門最高位、併せてオーディエンス賞受賞ほか各コンクールで入賞。モスクワ音楽院大学院を首席で卒業し同時にディプロマを得る。
 帰国後は紀尾井ホール、東京文化会館などでリサイタル、デュオコンサート、コンチェルトを演奏。日本・ロシア音楽家協会主催「スクリャービンピアノ作品の夕べ」、NHK-FM放送「名曲リサイタル」出演。また「ロシアの風」シリーズのリサイタルではロシアの作品を幅広く紹介している。
 現在、洗足学園音楽大学、同高等学校音楽科にて後進の指導にあたる。寺西昭子、尾高惇忠、M.ヴォスクレセンスキーの諸氏に師事。日本・ロシア音楽家協会、ピアノ教育連盟会員。

ピアノ/佐藤勝重 Kstusige SATO

 桐朋女子高等学校音楽科(共学)を首席で卒業後、パリ国立高等音楽院に入学。1996年同音楽院を1等賞で卒業後、パリのエコール・ノルマル音楽院に入学。2001年同音楽院の高等演奏家課程を賞賛つき満場一致で卒業。その後、引き続き同音楽院に在籍し、2003年 同音楽院最高課程(コンサーティスト)を修了し、演奏家資格を取得。 これまでに、福岡幸子、江戸弘子、G.フレミー、G.ムニエの各氏に師事。この間、全日本学生音楽コンクール全国大会優勝やSOFIA国際ピアノコンクール第1位受賞など、国内外のコンクールに入賞する傍ら数多くのコンサートに出演、好評を博す。1999年には日本ショパン協会主催の「2000年/第14回ショパン国際ピアノコンクール」推薦オーディションに合格し、同協会から日本代表として推薦出場した。 近年はショパンを中心としたリサイタルを全国各地で開催しており、パリでも各種音楽祭への出演やシャン・シュール・マルヌ城での定期演奏会を開催している。 また、2004年からアレクセイ・トカレフ氏(元レニングラード交響楽団首席トランペット奏者)とデュオを組み全国各地を周るなど、ソロ、室内楽共に意欲的な活動を継続している。 現在、桐朋学園音楽大学非常勤講師、昭和音楽大学、同短期大学非常勤講師。

ピアノ/岩崎 淑 Shuku IWASAKI

 倉敷市出身。桐朋学園大学、ハートフォード大学、ジュリアード音楽院、キジアーナ音楽院で、井口秋子、井口基成、J.ラタイナ、ベネディッティ=ミケランジェリ、S.ロレンツィ、I.フロインドリッヒの各氏に師事。1967年ミュンヘン国際音楽コンクール二重奏部門第3位、68年ブダペスト、70年チャイコフスキー国際音楽コンクールで伴奏者特別賞を受賞。以来、国内外で著名なアーティストと共演のほか、20年間に渡り、毎夏シエナのキジアーナ音楽院で室内楽のクラスを担当。「岩崎 淑ミュージック・イン・スタイル」主宰、89年この成果に対し芸術祭賞を受賞。「沖縄ムーンビーチ・ミュージック・キャンプ&フェスティバル」「沖縄国際音楽祭」を弟の岩崎 洸と企画開催。現在、演奏活動のほか、イタリアのゴリツィア、ヴァルセジア・ムジカ、カントゥ国際音楽コンクール審査員、桐朋学園大学院大学教授、くらしき作陽大学、尚美学園大学大学院でも教鞭をとる。倉敷市文化振興財団アドバイザー。近著に『アンサンブルのよろこび』(春秋社)がある。05年福武文化賞を洸氏と共に受賞。06年第1回高松国際ピアノコンクールで審査委員長を務めた。日本・ロシア音楽家協会運営委員。

ピアノ/岡野宏映 Hiroe OKANO

 名古屋市生まれ。桐朋女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部器楽家ピアノ専攻卒業。室内楽カロローザをはじめ、サロンコンサート、デュオリサイタル、アンサンブル金沢のメンバーと室内楽など、演奏活動を行う。
 ピアノを佐野 翠、松岡貞子、雨田のぶ子の各氏に、室内楽を岩崎 淑氏に師事。現在、桐朋学園大学附属《子供のための音楽教室》富山教室講師。

 


松岡俊克/ピアノのための音楽 I …金井泉乃(ピアノソロ)
Toshikatsu MATSUOKA : Music for Piano I …Mizuno KANAI(Piano solo)

まどろみのなかで、とりとめのない想念が浮かび、消えては浮かび、浮かんでは消える。律動的なものと、メロディックなものが、交錯したり、かい離したり、次第に統合される。そして和音の響きが、異化され、“C♯”音の余韻が時空へと解け込んでいく。

プロフィール
東京藝術大学大学院音楽研究科作曲専攻修了。作曲を長谷川良夫、南弘明、黛敏郎、北村朗、八村義夫、有馬礼子の各氏に師事。1983年世界仏教音楽祭入選(オーケストラのためのSattva karman<有情の業>)。1997年第3回サクソフォンのための作品コンクール優秀賞受賞(テラーサックスとピアノのための音楽)。2001年、2007年嶺南国際現代音楽祭(韓国、Daegu)招待作曲家。現在、東アジア作曲家協会会員。日本・ロシア音楽家協会運営委員。

塚本一実/ソロピアノのための抒情 〜悲、憧、諦〜(2006初演) …川崎智子(ピアノソロ)
Kazumi TSUKAMOTO : DESCRIPTION for Solo piano. 〜Sorrow, Longing, Resignation〜…Tomoko KAWASAKI(Piano solo)

この作品は黒川浩氏の委嘱により作曲いたしました。黒川氏から「抒情組曲のようなもの、?气yシミズム、??実らぬ憧れ、?。あきらめ」などの言葉を頂き、私なりにそれらを捉え創作に取り掛かりました。楽譜には?氈u悲」Sorrow、??「憧」Longing、?。「諦」Resignationと書かれています。私はこれらの言葉に否定的な感覚より、それらを踏まえたうえで肯定していく楽しみ、実り、光などを感じ、作曲をいたしました。音が動くのではなく、「響き、余韻」に心が動くようなものをイメージし、その響きの連なりが唄となり、私の心の描写です。曲名のDESCRIPTIONとはdescription of mindのことで、邦題では「抒情」となります。

プロフィール
1963年、東京生まれ。89年、東京芸術大学音楽学部作曲科卒業。日本交響楽振興財団主催第16、25回作曲賞入選。作曲を松村禎三、浦田健次郎、山田泉の各氏に師事。主要作品に"Battery" for orchestraÅA"OSIRIS" for orchestra(第16回日本交響楽振興財団作曲賞入選)、"Mirrors" for Trombone and Piano、"未来からの予言"〜テューバ7本と語りのために〜(マーストリヒト・コンセルヴァトリウムにてオランダ初演)、組曲"2001年─武蔵野"合唱とオーケストラのために(武蔵野市民芸術文化協会委嘱作品)、「道」オーケストラのために(第25回日本交響楽振興財団作曲賞入選)、「2台ピアノのための光芒」(2005年ウラジオストック初演)現在、常葉学園短期大学音楽科講師。フェリス女学院大学非常勤講師。日本・ロシア音楽家協会、日本作曲家協議会、日本現代音楽協会、日本著作権協会会員

遠藤雅夫/<二つの余白>ピアノのために2004〜7(世界初演) …佐藤勝重(ピアノソロ)
Masao ENDO : <Space, Potential> for Piano 2004~7 (World premiere) …Katsushige SATO(Piano solo)

この作品は2004年にスケッチし、そのまま放置され2007年に仕上げたものである。今まで取り組んできたリズム、響き、旋律からの視点の視点を簡単にまとめたものである。 I<リズムの余白>、II<響き又は旋律の余白>と分かれている。

私のピアノ独奏作品は数えて見ると結構な量ある。<浸蝕作用>1975、<水の星>1990、<スターバースト>1991、ピアノ曲集<パンドラの箱>1995、<響きへのパトス>1999、<サンピラー(太陽柱)>2000、<13のエチュード>1994〜2000、<不透明な視差>2001、<シックスティ・レッドローズ>2007。これらは私の成長とともに進化あるいは変化してきた。
<二つの余白>では軽い気持ちでこれらの進化変化を受け止めたものである。次の11の内容は私がいつも考えているアイディアをまとめたものである。
1)固い音を半音とし柔らかな音を全音とし、その組み合わせた方で欲しい固さ柔らかさの度合いを決定する。なるべくシンプルな組み合わせをモットーとする。
2)12のあるいはそれ以上の音高をシステム化する方法は採用しない。
3)同時に響く長3度の音程を純正化させるように配慮する。
4)長短三和音をうまく配合する。
5)予期せぬ、瞬時の強い音を配置する。
6)横方向、これは旋律の事ですが、短3度を2分割する音階を交える。
7)室内楽などの場合、複数の奏者が同時に音を出すことを避ける。
8)日本の尺八や能管のポルタメント感性を取り込む。
9)「始めちょろちょろ中ぱっぱ形式」に陥らないように配慮する。
10)予期せぬドラマ展開を意図する。
11)ドラマの突如の停止=フリーズを行う。
私の作品はどれもこれもこれらの調合の度合いにより成り立っている。むろん<二つの余白>も同じである。

プロフィール
東京生まれ。東京芸術大学大学院修了。日本音楽コンクール入選。音楽之友社作曲賞受賞。文化庁舞台芸術創作奨励特別賞受賞。91年<国際現代音楽祭ISCM・チューリッヒ>、93年<チューリッヒの日本>、97年<リオハ国際音楽祭>に参加。またニューヨーク州ハミルトン大学でレクチャーコンサートを行う。同年第1回個展を東京で開催。98年<クラコフ音楽週間>、99年ルーマニア<日本芸術週間>に参加。2001年9月「アジア音楽祭メルボルン」に入選。2002年9月トゥルグムレシュ市で開催された「日本ルーマニア国交100周年記念音楽祭」にヴァイオリン協奏曲「豊饒の渦」が招待された。2005年にはウズベキスタンで開催されたモタシュケント2005モに「「線の迷宮」」が招待された。2006年2月にはニュ−ヨ−クでのミュ−ジックフロムジャパン公演で、尺八と二十絃のための作品が委嘱初演され好評を博した。現在、日本現代音楽協会理事広報部長、日本・・ロシア音楽家協会運営委員。

メトネル/2台ピアノのための作品 作品58-2「放浪の騎士」 …金井泉乃(第1ピアノ)川崎智子(第2ピアノ)
N.K.Medtner : Piece for 2 Pianos, No.2 Knight Errant. Op.58…Mizuno KANAI(Piano 1), Tomoko KAWASAKI(Piano 2)

メトネル:2台ピアノのための作品 Op.58−2《放浪の騎士》
ニコライ・カルロヴィチ・メトネル(1886〜1951)は、ラフマニノフ、スクリャービンと並ぶ「銀の時代」を代表するピアニスト兼作曲家。モスクワ音楽院に学び、若い頃はピアニストとして活躍。正規の作曲の指導は受けていないが、ドイツ・ロマン派の情熱的な表現にロシア風の旋律や和声を加味した独特の様式の作品で人気を得た。21年に国を離れてパリに、35年に英国に渡り帰化した。これは第二次大戦中の作品で、1946年に英国で出版され、ロシア生まれのアメリカの有名なヴォロンスキーとバビンのピアノ・デュオに捧げられた。静かな序奏とコーダをもった、雄大なスケールのソナタ形式の作品で、劇的な迫力に満ちている。勇壮な旋律や悲愴な主題が次々と登場する。展開部後半では、第1主題による溌剌としたフーガが含まれている。(石田一志記)

山田 斉/ソナチネ(世界初演) …岩崎 淑(第1ピアノ)岡野宏映(第2ピアノ)
Sai YAMADA : Sonatina for 2 Pianos. (World premiere) …Shuku IWASAKI (Piano 1), Hiroe OKANO (Piano 2)

山田 斉/ソナチネ(世界初演)
日没間近の空は、息呑むほど美しいが、やがて夜が来るのだ。 ナボコフ
3つの楽章からなる、2004年に書き上げた、2台のピアノのためのソナチネは、第1楽章モデラート、その2楽章「エレジア、寺原伸夫の思い出のための」は、恩師、寺原伸夫の姓Терахаを主題としている。第3楽章アジタート 第2、第3楽章は続けて演奏され 全体の演奏時間は、約12分である。

プロフィール
1978年東洋大学工学部電気工学科卒。作曲を寺原伸夫氏に師事。1984年日本・ロシア音楽家協会会員、1989年さいたま市音楽家協会会員。近作に弦楽四重奏曲(2005)、箏独奏曲(2006)、ピアノ三重奏曲(2007)等がある。

ラフマニノフ/2台ピアノのための組曲 第2番 作品17 …岩崎 淑(第1ピアノ)岡野宏映(第2ピアノ)
1.序奏 2. ワルツ 3. ロマンス 4. タランテラ
S.Rakhmaninov : Suite for 2 Pianos No.2, Op.17…Shuku IWASAKI (Piano 1), Hiroe OKANO (Piano 2)
1. Introduction 2. Waltz 3. Romance 4. Tarantella

ラフマニノフ:2台のピアノのための組曲 第2番 Op.17
セルゲイ・ラフマニノフ(1873〜1943)は、22歳の年に発表した第1交響曲の不幸な失敗で作曲活動を中断した。この《組曲第2番》は、その彼が、《楽興の時》Op.16から5年の空白をおいて1901年にピアノ協奏曲第2番と並行して作曲した作品である。シロティの下での兄弟弟子であったピアニストのアレクサーンドル・ゴリデンヴィェーイゼル(1875〜1961)に捧げられている。初演はラフマニノフとシロティによって1901年11月24日にモスクワで行なわれた。堂々とした<序奏>、ワルツのリズムと2拍子のフレーズの交差に特徴のある<ワルツ>、いかにもラフマニノフ的な叙情的旋律の<ロマンス>、ダイナミックなリズムが支配する<タランテラ>の4楽章から構成されている。(石田一志記)

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