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日本・ロシア音楽家協会 
Японо-Российское Общество Музыкантов
ロシア民謡フェスティバル 開催レポート
2019年
2月28日(木)19:00開演 (18:30 開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」(03-3409-2511)

 日本・ロシア音楽家協会主催の「ロシア民謡フェスティバル」が、同協会副会長のバス歌手・岸本 力氏をはじめ、同協会所属の5名の歌手とピアノの小笠原貞宗氏、それにロシアの代表的な民族楽器バラライカ奏者の北川 翔氏とアコーディオン奏者の大田智美さんが出演して行われました。

 タイトルどおり演奏されたのは全てロシア民謡。イタリア民謡と並んで日本人には非常に人気が高いロシア民謡だけに、雨天にも関わらず会場は補助席も出るほど聴衆が集まりました。1960年代に非常に流行った歌声喫茶でロシア民謡はよく歌われましたが、その経験をお持ちではないかと思われるようなご年配の方々も多数来場されていました。

 最初に登場したバスの渡部智也氏は「ピョートル街道に沿って」と有名な「ヴォルガの舟歌」を、朗々としたバスらしい太い低音で聴かせてくれました。

 2人目のメッゾ・ソプラノの天野加代子さんは、ロシアン・ジプシーソングを2曲。まずバカレイニコフの「トロイカの鈴」では、フラメンコのようにカスタネットを鳴らしながら歌いました。2曲目は男性の情熱的な歌として知られる「黒い瞳」を、女声ながら力強い歌声で披露しました。

 続いてソプラノの福成紀美子さんの1曲目は「私を責めないで」。ソプラノの明るい高音でのロシア民謡もとても素晴らしい。2曲目の「広野」では、明るく楽し気に歌われました。

 前半最後はバス・バリトンの小原伸一氏。「鐘の音は単調に鳴り響く」と、よく知られた「ステンカ・ラージン」。素晴らしいバリトンの声と歌唱力で歌い上げ、力強く迫力もあり、会場からブラヴォーの声も飛んでいました。

 後半最初は、ロシア民謡には欠かせないバラライカが登場。北川 翔氏のバラライカと大田智美さんのアコーディオンで、1曲目はロシア民謡の「月は輝く」。軽快な演奏でロシア民謡の良さが更に伝わってきました。2曲目のスヴィリドフ「ロマンス」では、非常にロマンティックで哀愁を感じました。3曲目のゴロドフスカヤ「ロシアの調べ」では、ロシア民謡の楽しさを存分に披露してくれました。

 次に登場したメッゾ・ソプラノの筧 聰子さんは、1968年にイギリスの歌手メアリー・ホプキンが歌って大ヒットした“Those were the days”(哀しき天使)の原曲であるフォーミンの「長い道」と、ペテルブルスキの「疲れた太陽」を雰囲気豊かに歌いました。

 続いては同協会副会長のバス岸本 力氏の登場。1曲目のノヴィコフ「道」では、非常に豊かな表現力と声で圧倒しました。最後にファルセットで高音を長く延ばして終わるところは絶品でした。2曲目のロシア・ジプシー民謡「2つのギター」は、ロシア民謡の中でも「トロイカ」や「ステンカ・ラージン」「ヴォルガの舟歌」などと並んで非常によく知られ、親しまれている曲ですが、声の延びと表現力は群を抜いており、流石です。

 最後は出演者全員が登場し、ソロヴィヨフ=セドイの「モスクワ郊外の夕べ」、ソヴィエト歌謡「ともしび」、そしてブランデルの「カチューシャ」を演奏。

 アンコールでは「モスクワ郊外の夕べ」を聴衆も参加して全員で歌って終了しました。

 日ロ音楽家協会としては、声楽家だけでなく、多くの所属アーティストを登場させ、様々な形態のロシア音楽を紹介・披露するのが使命でしょうが、ロシア民謡がこれだけ根強い人気があるならば、この「ロシア民謡フェスティバル」は毎年行っても良いのではないでしょうか。

(K.Y.)

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