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 九つのロシアの詩による
日本歌曲(全曲新作初演)ロシア歌曲 開催レポート
日時:2015年
11月20日(金)19:00開演(18:30開場)
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」 03−3409−2511

 既存の歌曲の詩を翻訳し、日本人の作曲家が新たに音楽をつけたら、どのような作品になるのでしょうか。これを企画とした独特な発想のコンサートが、日本・ロシア音楽家協会の主催で開かれました。同協会では、5年前に同じコンセプトで演奏会を開催しています。

 前回はプーシキンの詩のみが並べられたプログラムでしたが、今回は出演の声楽家各々が選んだ3名のロシア人の作曲家、ムソルグスキー、ラフマニノフ、チャイコフスキーの歌曲が題材です。今回の演奏会のための新たな訳詞は、伊東一郎氏が手がけました。伊東氏はこれまでにムソルグスキーのオペラ《ボリス・ゴドゥノフ》などの訳詞上演に携わられています。

 この日プログラムに並んだのは、9名の作曲家による9つの新作です。必ず原曲を最初に演奏し、その後邦人作曲家による作品が披露されます。浅香満さんの〈リラの花〉のように、ラフマニノフによる原曲に寄り添ったものもあれば、平井正志さんの〈さわがしき舞踏会のさなかに〉のように、チャイコフスキーの一貫したもの悲しいワルツとは異なり、場面ごとに雰囲気が変わるなど、原曲との違いはさまざま。連続して作品を聴くと作曲家が詩からどのような印象を受けたのか、より感じることができました。

 プログラムの最後を飾ったのは、ムソルグスキーの〈蚤の歌〉。新作でも原曲と同じように、作品の随所に「ハハハ!ヘヘヘ!」と笑い声が入ります。岸本力さんによる表情豊かな歌唱に動きも加わることで、オペラのワンシーンを見ているようでした。

 ロシア音楽の普及と日本音楽が融合し、発展を望むことを趣旨としている日本・ロシア音楽家協会。訳詩に対する解釈の違いから生み出された新たな音楽で、それが体現できたのだと感じました。

(R.K.)

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