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初夏に贈る ロシア歌曲の夕べ開催レポート
〜日本・ロシア音楽家協会会員による〜 <2011-I>
● 日時:2011年7月6日(水)19:00開演(18:30開場)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
東京都渋谷区神宮前5-1  TEL.03-3409-2511(地下鉄、銀座線・千代田線・半蔵門線A1出口すぐそば)
主 催:日本・ロシア音楽家協会
協 賛:株式会社 河合楽器製作所
後 援:在日ロシア連邦大使館 在日ロシア連邦文化協力庁 公益財団法人 東京二期会

 

 7月6日(水)表参道パウゼで、「初夏に贈る ロシア歌曲の夕べ 〜日本・ロシア音楽家協会会員による〜〈2011-I 〉」を聴いてきました。

 演奏に先立ち、日本・ロシア音楽家協会会長の森田稔氏よりご挨拶があり、その中で森田氏は「ぜひロシア語の響きを楽しんでいただきたい」とおっしゃっていました。

 出演くださった歌手は計7名。それぞれが2〜3曲の歌曲を披露する形で、演奏会が進んでいきました。プログラムは以下の通りでした。

1. 川畑久子(ソプラノ)、吉永哲道(ピアノ)
メトネル「私は貴方を愛した」(プーシキン詩)
「柳よなぜ水辺にうなだれる」(チュッチェフ詩)
「夜の微風」(プーシキン詩)

2. 天野加代子(メゾ・ソプラノ)、小坂幸世(ピアノ)
チャイコフスキー「太陽は沈み…」(ラートガウス詩)
リュビンシュタイン「夜」(プーシキン詩)
チャイコフスキー「ドン・ファンのセレナーデ」(トルストイ詩)

3. 関森温子(ソプラノ)、川口葉(ピアノ)
グリエール「春の夜に星たちは…」(ブーニン詩)
「悲しみのしずくが落ちる」(ラートガウス詩)
「何を望むのか、何を?」(アガリョーフ詩)

4. 小原伸一(バス・バリトン)、渡辺あけみ(ピアノ)
バラキレフ「騎士」(ヴィリデ詩) 
「セリムの歌」(レールモントフ詩)
「抱きしめよ 口づけせよ」(カリツォフ詩)

5. 長井純子(メゾ・ソプラノ)、渡辺あけみ(ピアノ)
ラフマニノフ「私は悲哀の中で愛してしまった」(シェフチェンコ詩)
チャイコフスキー「それは早春の事だった」(トルストイ詩)
「ジプシーの歌」(ポロンスキー詩)

6. 筧聰子(メゾ・ソプラノ)、小笠原貞宗(ピアノ)
チャイコフスキー「和解」(シチェルビーナ詩)
「狂おしい夜」(アプーフチン詩)
「こんな月の夜には」(ラートガウス詩)

7. 岸本力(バス)、小笠原貞宗(ピアノ)
ムソルグスキー「木の葉は悲しげにざわめいていた」(プレシチェーエフ詩)
「司令官」『死の歌と踊り』より第4曲(ゴレニーシチェフ=クトゥーゾフ詩)

 川畑さんは3曲目で非常にドラマティックな表現を聴かせて下さいました。天野さんは歌いながらも、まるで朗読しているかのようで、ロシア語の響きやニュアンスがとてもよく伝わってきました。関森さんは伸びのよく、木目の細かい声が印象的で、川口さんのピアノとのバランスは抜群、心地よいアンサンブルでした。小原さんは深みのある美声と気迫に満ちた演奏で、お客様を魅了していました。

 長井さんは、メゾ・ソプラノに独特の温かみ、包容力、力強さのある声が魅力的でした。筧さんの3曲目では、歌詞の内容を実際の情景として連想することができました。取りの岸本さんは歌う前から役になりきっており、また顔の表情だけでなく歌声も表情豊かで、聴き手を存分に楽しませて下さいました。

 そしてアンコールとして、東日本大震災の被災地復興へ祈りを込め、出演者全員、そして会場のお客様も一緒に、《はてもなき荒野原》を合唱しました。岸本さんによる分かりやすい歌唱指導もあり、パウゼ全体が温かいハーモニーに包み込まれたひとときでした。

 ロシア歌曲はあまり演奏される機会が少ないだけに、さまざまな発見があり、あっという間の1時間半でした。今後の演奏会も楽しみにしております。

(A・H)

 

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